悲しみを聴く石 / アティーク・ラヒーミー

『悲しみを聴く石』は、苦しみ苦しみ苦しみながら、秘密を明かしていく話だった。 作者は、アフガニスタンからフランスへ亡命した、男性のアフガニスタン人の作家。(てっきり女性かと思ったが男性だった) 読んだ動機は、アフガニスタンに生きる(特に女性)とは、どういう気持でいるものか知りたかったから。もともとこの作家、フランスに亡命できるくらいであるし、学生時代からフランス語を学んでいるくらいなので、アフガニスタンで稀有なくらいの富裕層と思われるため、どこまでアテになるか解らないという、疑心暗鬼もあったわけであるけれど、ともかく読んでみた。 読んだら想像以上に、アフガニスタンに生きることは、イヤなことだった。 どうイヤかと一番解りやすい事例で言うと、夜中にいきなり人が入ってくる。 夜盗というのか、なんだろう。 当たり前のように入ってきて、それで警察を呼ぶ、などという発想自体がない。 夜になると、銃撃戦も始まる。 一晩中続き、殺しあいをする。 それは「銃が飽きる」まで続く。 しかしそれは本作の背景事情で、本題は、彼女の秘密の方にある。 と同時に、秘密を語る、という行為の方にある。 さらに解説によれば、そのような苛酷な状況にあって、どのように彼女(たち)が、強さを発揮し生きているのか、ということにある。 次にイヤなのは、「コーラン」だ。 病気の治療にも、コーランの一説を読み上げつつ手をさする、なんて行為をする。 そんな医療、馬鹿馬鹿しい。 などと言い切っ…

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福田君を殺して何になる ---光市母子殺害事件の陥穽--- / 増田美智子

うちが取っている新聞は東京新聞なんだけど、何ヶ月か前の小さなコラム欄に、〝光市母子殺害事件の犯人を実名で書くルポルタージュ本が近く出版される、その著者はごく若い新進の女性ルポライターである〟と、書いてあった。 以来、早く読みたいと思っていた。 読みたい理由は次のことだ。

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希望ヶ丘の人々 / 重松清

2年前の夏、まだhatenaの住人だった頃、『滝山コミューン一九七四』(著者:原武史)の感想を書いた。その時期に原氏と対談していたのがこの作者で、両者は同世代人であるゆえ、あの時代を再発見しその中で共感しあっていた。かくゆうわたしも1962年生まれと同世代であるから行き掛かり上、色々と考える機会をもった。

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