2010年03月31日

フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略

この本を読んだ動機は、うまいこと工夫したら自分でも儲けることができるんじゃないかなーーっと思ったから。
が、そんな甘いものではない気配が濃厚で、従来の商売よりもいっそうの商売への情熱がないと無理なんじゃなかろうか?と思った。

もっとも158ページには、「これは儲かるか?」という問い自体「平凡なもの」とダメ出しされており、本書がめざすFREE(無料)をとばくちに巨大な収益へと結びつけるのは、「これはクールだろうか?」「これをみんなほしがるかな?」といった、「オタクの妄想のような問いかけ」なのだ。


そこから生まれる新サービスが、まず無料。さらにそれらが発展して派生するプレミアムコンテンツやサービス、もしくは広告収入から収益を上げる…というのが、本書の挙げるビジネスモデルである。なので、最後の最後まで全部無料なのではなく、結局は収益の話になるのだ。が、そんなにうまくいくのかいな? とこころもとない気分になるわけで、そういう懐疑主義やら悲観主義をまずもって否定するのがこういう人たちであるから、やっぱ自分には商売は無理だと思える。
が、商売だいすきっ!!という人は、ぜったいに読むべき本である。
ここらへん
独占インタビュー!『FREE』著者のクリス・アンダーソンが語る「無料経済を勝ち抜く企業と個人の条件」
を補足的に読めば本書でわかんなかった部分もだいたいわかった気になれる。

そんなでコツは、テンション高くやることで、本書のテンションも高い高い。
経済というか、商売というのは、テンションを下げたらダメなんだろうなと思う。
だから、著者のGoogle礼賛ぶりもすごくて、一片の批判精神もない。そのくせ、従来型のテレビなどの巨大メディアはその「稀少」(これ、キーワードのひとつ)ゆえに切って捨てているんだけど、Googleが第一に「稀少」ではないか。googleだったらOKとでもいうのだろうか。それに、googleのクラウドコンピューターはオレゴン州ダラスにある、というのが公然の秘密らしいのだけど(p.160)、そこが爆破テロにあったらどうすんだい? とか普通そういうポイントにあらかじめ答えているのが書籍ってものなのに、一片の悲観的予測も入っていない。ここでもgoogleすごいすごいの一点張りだ。

ともかくgoogleは神。だから文句いうなよなーということらしい。
YouTubeもgoogle所有のせいか、あれこれと礼賛しているのだけど、礼賛の根拠はどうやらテレビを破壊したからみたいで、父権的で「稀少」なテレビから、「潤沢」へとシフトしたことが素晴らしいと謳っている。けど別にYouTubeに動画をアップする個々人に収益があるわけじゃないでしょう。儲かるのはYouTube(google)だけで??

あと、どうにも疑問なのは、というか許せないコイツと思うのは、p.258の、「私の子どもはじめ、多くの子どもたちはジョージ・ルーカスのつくったスター・ウォーズに実はそれほど興味がないのだ。彼らは、自分たちと同じような仲間がつくったスター・ウォーズのほうに興味がある。カメラのぶれや画面に映りこんだ指など、まったく気にしない。」として、YouTubeにアップされた子どもの作った動画の方が、ルーカスのスター・ウォーズより価値があるかのように、嬉々として語っているのであるが、こういうこと言えてしまう人ってわたしは大嫌い。
あなたの子どもなんか何の基準になるのよ? そりゃ、子どもの作ったレゴのアニメはアニメで興味深いと思うよ? だからってどうしてそれがスター・ウォーズをこきおろす根拠になるわけよ? つーか、スター・ウォーズは子ども向け映画じゃありませんし。

それでもその子どもに収益がいっているのならば、まあまあそれもアリだと思うけど、儲かっているのはYouTubeなんでしょう?

注:いえそこまでは書いてないから不明です。ただ少なくとも、著者はこのけんの収益の行き先には興味がなく、「稀少」である偉大な映画の価値が下がったことに溜飲を下げている、という図式。でもって儲かっているのはバカみたいにYouTubeであることは不問にして。

そんなでこの著者、見たところタイピングフェチみたいで、ろくに考えず大量の文書を自動筆記なみに打ち込んでいて、第15章は「潤沢を想像する」と題して、SF作品のいくつかを引用している。のだけど、その引用の意図がわからず頭が痛くなった。この本にとって「潤沢」はフリーの別名みたいなもんで、最大の肯定因子。が、これらSFは潤沢ゆえに醜怪になっていく人間の姿を描いている。(?)
だから、なに? なにがゆいたい?? 僕ってそういう造詣もふかいんだよねーとでも?

って感じかな。あと音楽関係のことはp.204からp.210、書籍関係はp.211からp.215が、今更だけど該当箇所かなぁと思う。

でも、ぜんぶライブで儲けるってのはやめてほしいなぁ。
世の中には、外になかなか出れない人だっているんだから。(高齢とか)

参考
「ロングテール」のアンダーソン氏が提唱する直感に反したオンラインメディア料金体系
ダイヤモンド[FREEの正体 0円ビジネス全解剖]3/13日号

☆ ☆ 

ぜんたいにちょっと貶しましたが、いいことが書いてありました。朗読を聴いてあげたらお金を払うのではなく、「もらう」料金体系とか。
そういう、発想の大転換が必要なのですね。

商売の才覚あふれる人による、無料のものと、あとベーシックインカムの5から8万円が加われば、実質フリー枠が俄然増える、ということになり、YouTubeでユニークな動画をアップした子どもにも収益がいったことになるわけですよ。
あと、わたしにも。
はやく、もらえないかなBI
タグ:フリー
posted by sukima at 22:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | BOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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